多職種からの情報発信
遠隔心臓リハビリテーションとは
心臓リハビリが心血管患者さんの予後を改善させることは、既に明らかになっていますが、外来心臓リハビリになかなか参加できない原因としては、家が病院から遠いことによって通院が難しいこと、仕事などで忙しいこと、運動が嫌いなこと、病院に行くのが疲れること、心臓リハビリの費用(1回600―2000円)がかかること、通院が一人ではできない患者は家族に‛迷惑’をかけること、コロナ禍で外出にともなう感染リスクを避けたいこと、心臓リハビリの必要性について理解が不足していること、などが挙げられますが、心臓リハビリを受けられる施設が限られており、遠方であることがもっとも大きな原因として考えられています。
以上より、これらを解決しつ手段として外来心臓リハビリテーションのかわりに、遠隔心臓リハビリテーションが日本でも注目されるようになりました。
日本の遠隔心臓リハビリテーション
日本での遠隔心臓リハビリは、
①在宅にエルゴバイクを持ち込むリアルタイム双方向性の遠隔心臓リハビリと、
②遠隔生体モニターアプリを利用したテレナース(医療スタッフによる電話指導)を行う非監視下(運動をリアルタイムで医療者がみていない)の遠隔心臓リハビリに大別されます。
リアルタイムの遠隔心臓リハビリは、心不全の患者さんに行われた研究があり、6分間歩行(6分間で歩ける移動距離)が改善したことが報告されています。一方、テレナースによる遠隔心臓リハビリは、重症心不全患者さんに行われ、病気の再発を予防させたことが報告されました。更にQOLを数値化したEQ5Dスコアでは、遠隔心臓リハビリの方が外来心臓リハビリより高い点数を示しました。その理由としては、電話相談による親密性によって精神的な安定が得られた可能性が考察されています。
何れの形態の遠隔心臓リハビリにも一長一短はありますが、技術の進歩とともに心臓リハビリが身近になってきています。近年Apple Watch(Apple)やFitbit(Fitbit)を始めとしたスマートウォッチなどのウェアラブルデバイスの進化とともに、遠隔心臓リハビリへの応用が始まっています。例えば、榊原記念病院心リハ室では、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の助成を受けて、Apple Watchを用いた「TeleRehab」という包括心臓リハビリのアプリを開発し、実用化しています(図)(「ウェアラブルデバイスを用いた心臓リハビリテーション遠隔管理システムの開発と無作為化非盲検比較試験」)。
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