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2025.04.17

クリニックが行う外来心リハ

あさぶハート・内科クリニック 福島 新 医師

心リハといえば、カテーテルや開胸手術ができる入院施設でのリハビリをまず思い浮かべますが、近年、無床クリニックが外来だけで心リハを行う試みが増えています。当院もその一つで、2023年に開院し現在では月450件の外来心リハを実施しています。通院患者の平均年齢は75歳、70%は慢性心不全 (HFpEF)で、フレイルの合併が40%でした。2023年にHFpEFへの運動療法の効果を検証したメタ解析では、絶対値で2.5 mL/kg/min上昇し、過去のHFrEFへの有効性より高いことが示されました1)。当院は週1回、月に13単位(1単位20分)まで保険診療で行える維持期心リハが主体であり、peak VO2 13.6±4.2 → 14.3±4.3 mL/kg/minと報告より低いものの、半年間で有意に運動耐容能が改善しています。

当院の心リハへ参加している患者層を大別すると
① かかりつけ医として通院する症例(心不全の維持期心リハ)
② 初診で心不全と診断し他院へ紹介・入院となり、退院後に当院で心リハを導入する症例
③ 急性期病院を退院後、紹介元での外来診療を継続しながら心リハのみ当院で行う症例
④ 心疾患とフレイル合併により介護保険サービスへ繋ぐための一時的な導入

いずれもフレイルを合併した高齢心不全が主であり、入院施設が無い分、心不全増悪サインの早期発見や疾病管理・療養指導により心不全入院を回避することがより重要となります。そこで当院では、医師のリハ前診察に加え、9名の看護師・理学療法士からなる心不全療養指導士が診察の合間や、リハ前後、運動療法中を使って、情報収集から包括的療養指導まで積極的に関わっています(スキマ療養指導)。電子カルテには、患者毎に指導の必要情報を入力する共通のフォーマットを作成し、多職種がスキマ時間に少しずつ入力することで患者情報が包括的に集約され、多職種カンファレンスで共有します。また、外来心リハが継続困難なフレイルを合併した高齢者は、速やかに介護申請し、近隣の在宅クリニックと連携して地域包括ケアシステムを構築しています。これらかかりつけ医機能は心大血管リハビリテーション管理料Iに加え、地域包括診療加算(再診時23点)、機能強化加算(初診時80点)として算定可能であり、心不全治療薬が処方された場合、院外薬局は調剤後薬剤指導管理料として月60点が算定可能です。
このように、クリニックが行う外来心リハはかかりつけ医としての役割から在宅への移行まで、幅広く長期に関わることから、心不全療養指導士が活躍できる場として最適かもしれません。

文献
1)Sachdev, V et al. J Am Coll Cardiol 2023 Vol. 81 Issue 15 Pages 1524-1542

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公益財団法人 榊原記念財団 附属 榊原記念病院
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(祝日年末年始を除く)